diff --git a/docs/kakomonn/tokyo_university/science/phys_2020_phys_2.md b/docs/kakomonn/tokyo_university/science/phys_2020_phys_2.md index aec9492a8..ad80a179b 100644 --- a/docs/kakomonn/tokyo_university/science/phys_2020_phys_2.md +++ b/docs/kakomonn/tokyo_university/science/phys_2020_phys_2.md @@ -39,7 +39,7 @@ $$ で与えられる。ここで $(p_{ix}, p_{iy}, p_{iz})$ は $i$ 番目の粒子の運動量、$(x_i, y_i, z_i)$ は $i$ 番目の粒子の位置座標、$h$ はプランク定数 $(h = 2\pi \hbar)$、$\beta = 1/(k_B T)$で、$k_B$ はボルツマン定数である。 -式 (2) の積分を実行し、$Z(T, V, N)$を求めよ。さらに、得られた結果を用いて、この系の圧力 $P(T, V, N)$ を求めよ。必要であれば +1. 式 (2) の積分を実行し、$Z(T, V, N)$を求めよ。さらに、得られた結果を用いて、この系の圧力 $P(T, V, N)$ を求めよ。必要であれば $$ \begin{split} @@ -51,11 +51,11 @@ $$ を用いてよい。 -式 (2) には、$1/N!$ という因子がついている。もしこの因子が無かったとすると、ヘルムホルツの自由エネルギーが、ある熱力学的性質を満たさなくなる。このことを言語で説明せよ。 +2. 式 (2) には、$1/N!$ という因子がついている。もしこの因子が無かったとすると、ヘルムホルツの自由エネルギーが、ある熱力学的性質を満たさなくなる。このことを簡潔に説明せよ。 -この系のエントロピー $S(T, V, N)$ を求めよ。$T \to 0$ としたときに、古典的には $S$ はどうなるか述べよ。 +3. この系のエントロピー $S(T, V, N)$ を求めよ。$T \to 0$ としたときに、古典的には $S$ はどうなるか述べよ。 -体積が一定のときの熱容量 $C_V(T, V, N)$ を求めよ。 +4. 体積が一定のときの熱容量 $C_V(T, V, N)$ を求めよ。 以下では、粒子がフェルミ粒子であるとして、量子力学的に扱う。系は化学ポテンシャル $\mu$ の粒子浴に接しているとして、グランドカノニカル分布で考える。粒子の運動エネルギーを @@ -63,17 +63,17 @@ $$ \varepsilon_k = \frac{\hbar^2}{2m} (k_x^2 + k_y^2 + k_z^2) \tag{5} $$ -と表す。ここで $(k_x, k_y, k_z)$ は粒子の波数を表す。また、体積 $V$は一辺の長さ $L$ の立方体とし $(V = L^3)$、周期境界条件が満たされるものとする。ただし、スピンなどの粒子の内部自由度は考えなくてよい。 +と表す。ここで $\boldsymbol{k} = (k_x, k_y, k_z)$ は粒子の波数を表す。また、体積 $V$ は一辺の長さ $L$ の立方体とし $(V = L^3)$、周期境界条件が満たされるものとする。ただし、スピンなどの粒子の内部自由度は考えなくてよい。 -5.この系の大分配関数 $\Xi(T, V, \mu)$ は +5. この系の大分配関数 $\Xi(T, V, \mu)$ は $$ \Xi(T, V, \mu) = \prod_k \left(1 + e^{-\beta (\varepsilon_k - \mu)}\right) \tag{6} $$ -である。この式で、波数 $k$ が取り得る値を求めよ。 +である。この式で、波数 $\boldsymbol{k}$ が取り得る値を求めよ。 -6.大分配関数を用いて、全粒子数の期待値 $\overline{N}$ が +6. 大分配関数を用いて、全粒子数の期待値 $\overline{N}$ が $$ \overline{N} = \sum_k f(\varepsilon_k) \tag{7} @@ -87,17 +87,18 @@ $$ である。 -7.フェルミ粒子系の縮退温度より十分高い温度では、$\mu$ は負で絶対値の大きな値 $(|\mu| \gg k_B T)$ となる。この場合、フェルミ分布関数は +7. フェルミ粒子系の縮退温度より十分高い温度では、$\mu$ は負で絶対値の大きな値 $(|\mu| \gg k_B T)$ となる。この場合、フェルミ分布関数は $$ f(\varepsilon_k) \approx e^{-\beta (\varepsilon_k - \mu)} \tag{9} $$ -と近似してよい。このような温度領域で、$L$ が十分大きいとして式 (7) の $k$ の取り得る値についての和を積分の形に書き直して積分を実行し、$\mu$ を $T, V$ と $N$(簡単のために $\overline{N} = N$ と書いてよい)の関数として求めよ。 +と近似してよい。このような温度領域で、$L$ が十分大きいとして式 (7) の $\boldsymbol{k}$ の取り得る値についての和を積分の形に書き直して積分を実行し、$\mu$ を $T, V$ と $N$(簡単のために $\overline{N} = N$ と書いてよい)の関数として求めよ。 -8.設問 7 と同様の温度領域におけるエントロピーが、近似的に $S\approx - \frac{\mu}{T} N$ となることを示せ。 +8. 設問 7 と同様の温度領域におけるエントロピーが、近似的に $S\approx - \frac{\mu}{T} N$ となることを示せ。 -9.一方、縮退温度より十分低い温度では、この自由フェルミ粒子系の熱容量 $C_V$ は $T$ に比例して $C_V = \gamma T$ と書けることがわかっている。このことと設問 8 の結果を考慮して、フェルミ粒子系でのエントロピーを温度の関数と +9. 一方、縮退温度より十分低い温度では、この自由フェルミ粒子系の熱容量 $C_V$ は $T$ に比例して $C_V = \gamma T$ と書けることがわかっている。このことと設問 8 の結果を考慮して、フェルミ粒子系でのエントロピーを温度の関数としてグラフにせよ。 +比較のために、設問 3 で考えたエントロピーの温度依存性も点線で書き加えよ。 ## **Kai** ### 1.